青チャートと言えば受験数学の定番参考書の1つと言えます。しかし分量も多く、例えば数Ⅰ・Aだけでも500ページ近くあり、数Ⅱ・B、数Ⅲも含めると1500ページ近くあります。本記事では効率よい青チャートの効率的な活用法を徹底解説します。
青チャートの特徴
青チャートの基本的な構造ですが、主に以下から構成されています。
- 基本事項
- 基本例題
- 重要例題
- EXERCISES
- コラム(まとめ・参考事項・補足事項)
問題の難易度の見方
例題、練習、EXERCISEすべてに、以下の5段階の難易度がついています
- ★☆☆☆☆ ⇒ 教科書の例レベル
- ★★☆☆☆ ⇒ 教科書の例題レベル
- ★★★☆☆ ⇒ 教科書の節末、章末レベル
- ★★★★☆ ⇒ 入試の基本~標準レベル
- ★★★★★ ⇒ 入試の標準~やや難レベル
★3までが教科書内容、★4以上が入試レベルと考えてよいでしょう。ですので、★☆☆☆☆~★★★☆☆の問題はほぼ確実に解けるように、★★★★☆~★★★★★の問題は7割程度の理解を目指して学習すると良いでしょう。
各項目詳細
①基本事項
定理や公式など、問題を解くうえで基本となるものをまとめています。特に【解説】とかかれている項目では定理・公式の証明の他に、実践的な活用の仕方まで書かれています。
意外ととばしてしまいがちなページですが基本事項のおさらいのためにも、1周目の段階では少なくとも一読しておくことをオススメします。
②基本例題
教科書で扱われているレベルの問題が中心となっています。レベルで言えば★☆☆☆☆~★★★☆☆の問題が中心です。
③重要例題
「②基本例題」をさらに発展させた問題が中心です。入試を見据えた難易度の高い問題がそろっています。レベルで言えば★★★★☆~★★★★★の問題が中心です。
④EXERCISES
各単元の末に、その単元に関連する実際の入試問題が載せられています。有名どころで言えば「法政大」「名城大」「信州大」「東京学芸大」「順天堂大」「同志社大」「慶応大」など、GMARCHや国公立大学レベルの問題が多数見られます。
⑤コラム(まとめ・参考事項・補足事項)
「まとめ」「参考事項」「補足事項」の3つの種類で分けられていますが、難関大学を目指す人は特に「参考事項」と「補足事項」を一読することをオススメします。
例えば数Ⅰのあるページでは「【参考事項】2次方程式の解に関するいろいろな性質」として「解と係数の関係」について触れています。
「解と係数の関係」は国公立大学をはじめ、多くの大学の2次試験で出題されます。数Ⅱで学習する内容ではありますが、早い段階から触れることで周りと差をつけることができます。
他のチャートとの違いは?
チャートと言えば”青”チャートの他に”赤”、”白”が挙げられます。青チャートとの違いはどこにあるのでしょうか?
各チャート比較表
試しに同じ「2次関数」という章で限定して、問題数・難易度を比較してみました↓
赤チャート | 青チャート | 黄チャート | |
全問題数 | 71題 | 69題 | 58題 |
★1 | 9題(12.6%) | 8題(11.6%) | 5題(8.6%) |
★2 | 25題(35.2%) | 25題(36.2%) | 22題(37.9%) |
★3 | 26題(36.6%) | 24題(34.8%) | 23題(39.7%) |
★4 | 9題(14.1%) | 10題(14.5%) | 7題(12.1%) |
★5 | 1題(1.4%) | 2題(2.9%) | 1題(1.7%) |
まず前置きですが、白チャートとそれ以外のチャートでは同じ★4でも、レベルの差があったのでこの表からは除外しました。
青チャートvs黄チャート
比較結果
各難易度ごとの問題数の割合はそこまで大差はないですが、問題数が青チャートの方が黄チャートよりも11題多く、中には国公立大学以上を目指すうえでかかせない問題も含まれています。
例えば「2変数関数」の問題でいうと、黄チャートは「2変数関数の最大・最小」の1問だけであるのに対し、青チャートは「2変数関数の最大・最小(条件式つき)「2変数関数の最大・最小(条件付きなし)」の2題記載されています。
とくに「2変数関数の最大・最小(条件式つき)」は一度は触れておきたい問題の1つです。
結論:黄チャートと青チャートに”大差”はない
以上をまとめると、黄色チャートと青チャートの間には類似している問題も多く、したがって”大差”はないように思われます。しかし、時折入試に必須な問題で、黄チャートにはないけど青チャートにはあるということはありえます。
結論、以下のようにまとめられます。
- 学校で既にチャートを使用している人⇒そのまま使用
- 新しくチャートを始めようと思っている人(国公立志望)⇒青チャート
- 〃 (中堅大学・共テ対策)⇒黄チャート
赤チャートvs青チャート
比較結果
先ほどの表だけを見ると、パッと見の違いはなさそうです。
赤チャート | 青チャート | |
全問題数 | 71題 | 69題 |
★1 | 9題(12.6%) | 8題(11.6%) |
★2 | 25題(35.2%) | 25題(36.2%) |
★3 | 26題(36.6%) | 24題(34.8%) |
★4 | 9題(14.1%) | 10題(14.5%) |
★5 | 1題(1.4%) | 2題(2.9%) |
ですがよく見ると、確かに赤チャートの方が顕著に難易度が高い箇所があります。
例えば「2次関数の発展問題」の章で比較したとき、赤チャートでは「千葉大学」「東京大学」の入試問題を用いて「解の存在条件」に触れています。これは東大・京大をはじめとした最難関大学ではよく出される分野ですが、青チャートでは大きく取り上げられていません。
結論:最難関大学を目指す人は”赤チャート”
「黄チャートvs青チャート」と同じような結論になりますが、まとめると以下のようになります↓
- 学校で既に青チャートを使用している人⇒そのまま使用
- 新しくチャートを始めようと思っている人(国公立志望)⇒青チャート
- 〃 (最難関大)⇒赤チャート
これも正直なところ”大差”という差はないです。また、一部差が生じる箇所があるとは言えど、東大・京大をはじめとした最難関大を志望する人は、「1対1対応」「良問のプラチカ」などに進んでいくのですが、これらの参考書で十分差は埋まります。
青チャートの勉強法
いよいよ青チャートの具体的な勉強法に入ります。以下のようなステップで進めると良いです。
- 1周目は例題だけを扱う
- 最低5分は自分で考え解答を作る
- 解答を見て答え合わせ
- もう一度問題だけを見て、解答の方針を頭の中で構築してみる
- 2周目も例題だけを扱う
- 例題の解答を手で隠しながら、問題の方針を頭の中で構築
- 手をどかして解答を見て、方針があっているかを確認
大事なポイントは「例題だけを2周かけて取り扱う」。実際にこの方法で私自身名大理学部に現役で合格しました。
もっと詳しく見ていきましょう↓
1周目の勉強方法
最低5分は自分で考え解答を作る
以下の「重要例題30」の(2)で実践していきます
まずは解答を見ずに、自分でチャレンジしてみます。5分間はがんばって考えます。
条件式をそのまま代入したのですが、4乗の計算で躓いてしまいました。
「二項定理を使って展開できなくもないけど、計算が煩雑だな~・・・」
頭の中はこんな感じで悩み中です。
解答を見て答え合わせ
4乗の計算で躓いたので、解答を見ます。
解答を見ながら、正しい答えをノートに書き残します。
もう一度問題だけを見て、解答の方針を頭の中で構築してみる
多くの人は解答をノートに写して満足してしまいます。しかしここが最も大切なフェーズです。正しい解答を書いたのちに、「本当に理解しているか」のチェックを行います。
次のような意識で行うと良いでしょう。
「目の前に誰かがいると思って、その人に向かってこの問題の解き方を教える」
このような感覚で再構築します。
私だったら次のようにまとめます
「a=(1+√5)/2の条件式を代入してしまうと、4乗の計算をしなければならない。そこで(1)よりa^2=a+1であることから、2次式を1次式を用いて表すことができる。つまり3次式や4次式のような高次式を、1次式という低次式を用いてあらわすことができる。これにより、4乗の計算をせずに、代わりにaの1乗の計算だけで済む」
このように自分の中で整理することができて、初めてこの問題の学習は終了です。
うまく整理できないときは・・・?
解答を再構築するとは言うものの、数学を学び始めた人はすぐにできなくて当然です。そんな時は、塾や学校の先生と一緒に問題の方針を考えると良いでしょう。
当塾では1人1人正しい自学自習ができているかを丁寧に見ます。ご興味のある方はこちらからどうぞ↓
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2周目の勉強方法
2周目も例題だけを取り扱います。チャートは例題だけで十分です。練習問題やEXERCISEは、理解してるかの確認や力試しとしてたまに扱う程度でよいです。
1周目では自分で解答を作成するところから始めましたが、2周目ではやりません。
- 問題を見る
- 方針を構築する
- 方針があっているかを確認する
これだけです。ですのですべて頭の中だけで完結します。
「方針はあってるはずだけど、本当に自分で解答を作成できるかな?」
このように不安になったときは、再度自分で解答を作成して確認してみましょう。また計算力をあげるのが目的であれば、実際に手を動かすのは効果的です。
青チャート8割マスター=ぎりぎり国公立大学合格
私自身、現役時代に使用した参考書は次の3つ
- 教科書
- 青チャート
- オリジナルスタンダード・スタンダード演習
感覚としては、青チャートを8割程度マスターすると、ぎりぎり国公立大学に合格するかしないかといった感じです。
国公立大学の2次試験は思考力を問う問題が多いため、青チャートの他に最低もう1冊2次試験用の参考書をやったほうが間違いないです。
まとめ
いかがだったでしょうか?今回は青チャートを使った勉強法についてお話しました。数学を勉強する最初の一歩は、「量より質」です。焦る気持ちを抑え、1問1問丁寧に理解することを心掛けましょう。